こうして僕らは、夢を見る
うんうん。と一人頷く私は蕾。


因みに独身。21歳。彼氏はいません。ただいま随時募集中。私は頷きながら我が子は優しさを兼ね揃えたまま産もうと誓った。


そして私と翼のやり取りを黙ってジッと見ていた別の少年が口を開いた。





「誰だよ、このブス。」





デ ジ ャ ブ !



何だコイツ等は!いまの光陽高校には失礼な奴らしか居ないの!?チビブスチビブスチビブスチビ。――――――…ッんなもん知っとるわゴラアア!自覚済みじゃい!これでも学生時代はモテてたんだからね!今はからっきしだけど!



表の顔は澄ました顔をしてニコニコと愛嬌のある笑みを浮かべているけど内心は雷がゴロゴロ鳴り響き彼方此方に落雷中だった。



そして"翼"の時と同じように"籃"が答える――――――が。





「おね〜さん。」

「‘お姉さん’?お姉さんっつうより婆だろ。まじ格好ダセえって。明らかに女棄ててんだろコイツ。」





コイツ……!


私を哀れみの眼差しで見つめてくる目付きの悪い男に噴気寸前。


これでも夜は小綺麗なんだから!其処らのおじ様を悩殺してんだからね!?きらびやかなドレス着て折れそうな程高いヒール履いてるんだから!こんな汚れたスニーカー履いてないんだからあああ!


叫びそうになったけどある1つの考えが頭を過り口を紡ぐ。


いや。抑えろ。抑えるのよ、蕾?ここでキレるなんてみっともない。況してや相手は高校生。大人の威厳を忘れちゃイケないわ。厳威厳威厳威厳威厳――――


忘れないために"威厳"を頭の中で呟きながら繰り返す。ある意味頭のなかは不気味だ。


そんな気味の悪い思考を持つ私の格安セールで買った部屋着同然のTシャツの裾がグイグイッと引っ張られた。
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