こうして僕らは、夢を見る
「……ん?」
引っ張られたことで漸く横に少年が立っているのに気が付く。その少年は"翼"でも無く"籃"でも無くクールな少年でも無く目付きの悪い少年でも無い――――――――――――綺麗な少年だった。
な、なんだこの子。
眠たいのかな?トロンとした瞳。
まるで白雪姫みたいな美しさ…!
しかも失礼極まりない少年達とは違い真面そうでかなり感動気味。しかし余りにもジッと見つめてくるので若干狼狽えながら話し掛けて見た。
「……な、何でしょうか?」
「……涙(るい)」
「は?」
「……オレ、涙」
―――――え。じ、自己紹介?
これから宜しく的な?こんな失礼な奴等と仲良くしなきゃイケないの?ねえ?死刑じゃない?これ。
「………」
「………あ、うん。」
「………」
「………えっと、」
仲良くしたくねえええええ……!
なんでそんな目で見てくるの…!私が悪いみたいじゃない!いや。確かに名前を教えない私が悪いけども。そんな責めるような目で見ないで欲しい。端から見たら完璧悪者になっちゃうよ?私が。
「服を離してください!」と言う事が出来ない私は確実にヘタレ。きっと名前を言うまで服は離してくれないだろうな。それに―――――――――涙君だっけ?
無口そうな美少年の涙君が照れながらチビでブスな私に名前を教えて呉れた手前(頼んでないけど)無視する訳にもいかず。
「………蕾(つぼみ)です」
そう小さく呟いた。