こうして僕らは、夢を見る
和気藹々と会話する2人。
何かを言い掛けた朔君を無視して話を進めている。
急激に司くんと桜子姐さんの距離が縮まった。その話題が何故か私。複雑すぎる心情。麻痺を切らした朔君が司くんを咎める。
「司。部活はどうするんだ」
「部活?―――ああ、部活か」
部活の存在を恰かも今思い出したかのように繰り返す。仮にも部長さんなのに部活を忘れてちゃ駄目でしょ。
「今日の部活は終わりね」
「「「「ちょっと待て」」」」
私と翼と籃君と楓君の言葉が重なった。屈んでいた楓君なんて即座に立ち上がった。その早さは拍手喝采だ。マイペースな涙君も流石に目を見張っている。
予測していたのか朔君だけは呆れて溜め息をつく。でも笑っているのは桜子だけ。面白可笑しく手を叩いて笑っている。
「いやいや!司くん。まだ、お昼だからね?終了時刻じゃないよ?ほら時計を見なよ。12時05分だから。昼から部活あるでしょ」
「監督倒れたので無いらしいです。お気の毒ですよね」
「いつ倒れた!?寧ろピンピンの健康体だ!あのグータラ監督なら今頃クーラーの利いた部屋で鼾掻きながら仮眠してんぞ!」
「俺は煎餅を食べてるに1票〜。グラドルの写真集をニタニタ笑い見ながら御茶してるぜ」
「なら俺は昨夜録画したプロ野球を見ているに1票。俺様の読みに間違いはねえ。監督は無類の野球好きだからな」
「お前等の監督は可笑しい」
思わず突っ込んでしまった。
誰か私の気持ちを代弁して欲しい。
君たちの周りは色々と可笑しい。応援する他校の女子だったり自称ファンだったり変人顧問だったり。こんな環境の中で奮迅する君達が逞しいよ。
「蕾さん居ないなら遣る気出ない。暑いし俺もかき氷食べたい。」
「司………お前は少し我が儘過ぎるぞ。練習試合はどうする?まぁ一理あるが。確かに猛暑だ」
「……檸檬味」
「あら。涙君も檸檬味のかき氷を食べたいの?」
「……うん」
「俺はハワイアンブル〜。氷にドバトバ掛けて食うのが流儀。氷とシロップの比は3:7っつーのが定義じゃねえの」
「ほぼシロップだけじゃねえか!普通は4:6だろ!それにハワイアンじゃなくてイチゴが王道だ!」
「甘いな。籃も楓も。シロップはリンゴジャム。比は6:3:1。氷が多めでリンゴジャムが少なめ。1は飾りで薔薇の花弁だ」
「「気持ち悪っ!」」
何なんだろう。
収拾が付かない、この雰囲気。
籃君と楓君の言葉には心底頷いたけど。
翼の食べ方は邪道だ。本来のかき氷を見失っている。かき氷に薔薇を乗せる奴なんて見たことねえわ。絶対バカだろコイツ。優雅に言ってるが気持ち悪さが半端ない。完全に自分に酔ってる。
この、収拾がつかないなか。
私は声をあげた。
「あ、あのね!」