こうして僕らは、夢を見る



私の辛うじて聞こえるぐらいの小さな声が涙君は聞こえたのかパッと服を離してくれた。



同時に顔付きが優しげにフッと柔らかくなる。



か………可愛っ!



余りの涙君の可愛さに悶え死にそうになった。そして未だ涙君の名前しか聞いてない事に気付き他の4人に向き直る。



そこで漸く気付いたが全員顔が整いすぎで少し狼狽えた。しかも全員の雰囲気が協調性が無さすぎて笑えてくる。ちょっと個性が有り過ぎなんじゃない?今時の高校生はこんなもんなのかな?



少年達を観察するように見ながら私は話し掛けた。涙君以外の他の子達から名前を聞くために。





「アンタ達は?」

「何でブスに教えなきゃいけねえんだ」





こっちだって知りたかねえよ!



いや、知りたいけども。



いや、やっぱ知りたくない。



いやいや、でもさ?嫌々ながらも私が名乗ったんだからアンタ等も名乗れよコノヤロウ!



嫌味ったらしく言ってきた目付きの悪い赤茶の髪色をした少年に眼を付ける。大人気ないとか言わないでおくれ。これは社会勉強よ。名乗られたら名乗る!これ常識。





「ま〜ま〜。楓(かえで)そう言わずによ?あ。俺は籃ね〜。ダーリンって呼んでもいいぜ」

「遠慮しておきます」





マイペースだな、この子。



籃君か。それにしても流し目が怖いな。その色目に惑わされて金でも騙し捕られそう。幼い頃の私ならコロッと落とされてたね。



少し失礼な事を考える私に話し掛けるのは目付きの悪い赤茶の髪の少年に負けず劣らずのあの性悪男。




「俺は翼。お前は特別に名前で呼ばせてやっても良いぜ?」

「遠慮しておきます。」

「呼べよ。」

「いひゃい!いひゃい!(痛い!痛い!)分かった!"翼"!これで良いよね!?」

「―……チッ。仕方ねえな。特別に許してやる。有り難く思えよ」





理不尽過ぎる……!



何なんだよ。この少年!特別とか有り難みとか何様だコノヤロウ!――――ひい!す、すみません。何も悪いコトは考えてないから睨まないでッ!



鬼の形相で睨まれ若干涙目になった。つねられた頬を擦りながら翼の隣に目を向ける。
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