こうして僕らは、夢を見る












(「叶わないもの、ですか」)



(「うん。叶わないって認知してたら直ぐに司くんは諦める?例えばテニスが出来なくなるって知ったらテニスは手放す?」)



(「さあ。どうでしょうか」)



(「何で?もう出来ないんだよ?見つめてるだけじゃ変わらないのに。遣れないんだよ?」)



(「なら変化は要らない。テニスが出来ないなら変われなくていい。変わりたくもない。お情際が悪いですから。きっと納得するまで足掻きます」)



(「……そっか」)



(「何かを追い求める事のほうが楽しいです。遠い目標だからこそ良いんですよ。退屈な毎日に少しは刺激が合ったほうが良いですから。変わらない毎日を好む人も居るでしょうね、きっと」)



(「私は変化は要らない」)



(「俺は欲しいです。良いことでも悪いことでも常に変化が欲しい。より多くの変化を体感して成長出来ますから。俺は、今の俺では納得出来ない」)



(「満足してないの?司くんは本当に凄いと思うよ?冗談抜きで。お世辞でもないし」)



(「不満足です。俺はもっと――――…もっと高見を目指したい。何も完璧を求めてる訳じゃない。ただ更に上を見てみたい」)



(「…向上心の塊だね」)



(「貪欲なだけですよ」)



(「目標があるっていいね。目指すものがあると自分を見失わないもん。司くんは芯が強い」)



(「諦めたら人間、そこで終わりですから」)
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