こうして僕らは、夢を見る
馬鹿だ。



わたしは大馬鹿者だ。



未練がましい。今更なのに。



司くんの言う通りだね。諦めたらソコで終わり。現に私も終わった。為す術がない。あれから何年も経っている。何で今なんだと聞きたい。こんなの今更じゃん。



なのに思う事はただひとつ。






“もう一度……”






そう願う私が居る。





彼等に出逢って感化されている。好きな事に熱中する彼等が私とリンクする。時間も忘れてひたすら部活に明け暮れたあの頃が自然と思い出される。



彼等に出逢ってなかったらこんな悩む事も無かった。こんな思いもしなかったと思う。でも嫌じゃない。この乱れる気が嫌ではない。



彼等と居る事が今は楽しい。晴れやか。ワクワクする。そう謂った感じ。前は距離を置きたかった。でも何時しか境界線がドコにも見当たら無くなっていた。ホントに“嫌じゃない”





初心に返った気分。悩む事で人は一回り大きくなる。悩んで考えて成長していく。私もあの頃は悩んでばかりだった。



泣いて悩んで、また泣いて。



でも悩んで泣いたぶんだけ、笑った。



司くんの言う変化がこの出逢いなら私は――――――――もう少し成長出来るかな?



あまりにも自分が情けない。今になって変わろうとして何になる。何が変わる?



ポンコツな私はポンコツのまま。



―…そんなの分かってる。だけど














「…くっ……ひくっ、」






ああ。苦しすぎる。



諦めた事の代償の重さが今になって漸く痛感した。



これが“後悔”



後悔の念が容赦なく心を突き刺す。風を青を夏を――――――――全身で味わいたい。不完全燃焼で終わった夏。ずっと私は遣りきれない想いを抱き心の奥底に秘めていた。



それが一気に込み上げて来る。



涙になって露になる。



夏に失い夏に出逢い夏に甦る



夏に棄て夏に芽吹く



夢を追い駆ける彼等と出逢い、



夢へ駆けていた頃の自分を思い出したポンコツは、














もう一度だけ夢を見たくなった














「っぅぁぁぁァあああ!」





狂ったように泣き叫ぶ。瞳からは止めどなく溢れ出す涙が膝を濡らした。ノートを抱き抱えたまま、顔を膝に埋めて泣きじゃくった――――――――――――――――――――――――――――――――――――-------
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