こうして僕らは、夢を見る





「……同じ」

「え?」

「……同じなの。玲音くんと」






これを言うつもりは無かった。



でも余りに小さい玲音くんを見て思わず呟いてしまった。



玲音くんを見ているとどうしても幼い頃の私を思い出してしまう。小学生時代に独り、ポツンと席に座って居たことを。



虚しさと寂しさで俯いていた幼き頃の自分を。






「無視とか陰口とかは当たり前。些細なことで私は孤立したの」

「……つ、蕾姉ちゃんも虐められてたの?」

「ん―……。肉体的なものじゃなくて精神面なものかな」






はっきり何処からか虐めなのかはわからない。



でも背中を押されたり脚を引っ掛けられたりして頻繁に転んでた。助けて呉れる友達なんて居ない。



怪我するよりも陰口のほうが私は辛かった。周りで囁かれる声全てが私の悪口雑言かとも思った。知らない人がヒソヒソ話してるだけで脅えた。



知らないひとなのに、だ。



ただの被害妄想。



案外妄想も行き過ぎると恐ろしい。





1日が長くて、



その日が終われば、次の日が来るのが怖かった。



明日なんて来なければいいのにとワタシは眠りにつく。






「辛かったよ。やっぱり若い時は限度も知らないし良し悪しが把握出来てない未熟な子だから」






未熟なのは私も同じ。逆の立場ならどうだろう?もしも虐める側の立場だったなら。虐められるのが私は嫌で虐めに荷担していたかもしれない。





『あの子ウザイよね』

『分かる!無視しよ!』

『賛成!』

『乗らない奴は居ないよね?』

『乗らない子はいないよ!』

『うんうん。ノリの悪い子は友達じゃないよね!』

『あたしA子嫌いだから賛成』

『わたしもー』

『なら明日からA子は友達じゃないから無視だよ!』

『うん!』






そんな会話が目の前で繰り広げられたら幼かった私は『乗らない』と即答出来たかな?





―………きっと出来ない。





自分が虐められる事が嫌で我が身の可愛さに荷担していた。



今となっては逆の立場に居たことにホッとしている。人を傷つけるなら自分が傷ついた方がマシだ。



当時は苦しかった。けど今だから安心する。大人になったから解る事もある。傷つけた子は傷ついた子に償わなくちゃいけない。



過去の過ちは一生背負わなければイケない。償わなきゃイケない。私はその重い罪悪を背負える自信はない。きっと罪悪感で押し潰される。自業自得。それが代償。



今になったからそう思える。



昔の事だから、そう捉えることが出来る。



あの頃は本当に孤独だった。



辛くて、辛くて、辛くて



暗闇に独りぼっち。






「誰にも言えなかった」






日溜まりが眩しくかった。



公園やの日溜まりで遊ぶ元友達が眩しかった。



いつも遊び場だった公園。お飯事をしたり鬼ごっこをしたり。しかし何時しか私は公園を見ることもなく通り過ぎるようになっていた――――――独りで遊んでも楽しくないでしょ?



心を閉ざして虐めれていることを誰にも言わなかった。



家では明るく振る舞い教師の前では元気な優等生を演じた。誰も気づく事のない変化。






「……ぼ、僕も」






玲音くんが小さく呟いた。



ポツりポツりと話し出す。
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