こうして僕らは、夢を見る






「毎日此所でテニスしてるの?」




そう私が聞くと、今日は偶々だと教えて呉れた。学校が終わってから校外で打とうって話になり此処に来ただけらしい。


だから制服のままテニスしてたんだ。偶々だと言えど炎天下のなか良くテニスなんか出来るよね。






やっぱりテニスが好きだから…?


夢中に成れるものがあるっていいことだよね。


私も昔は時間なんて気にせず日夜我武者羅(がむしゃら)に走って――――――――‥‥‥





あ――………。
駄目。駄目だ、ワタシ。


何でこんなコトばっかり思い出してるんだろ。


不意に汗にまみれた昔の私が過り無理やり振り切る。





「……蕾さん?」

「……へ、あ、ううん。何でもないよ、涙君。」





頭を横に振る私を不思議そうな眼差しで見てくる涙君に、空笑い。しかし咄嗟に無理して浮かべた笑顔だったから若干引き攣っていたから涙君にもっと不思議そうな顔をされた。


私は話を反らすために、ふと目に入った涙君の制服に視線を移す。






「みんな光陽高校の生徒なんだね?」





何気ない疑問。このテニスコートから近い光陽高校の制服を身に纏う五人の少年達。



光陽高校は普通科・体育科で別れており、普通科は成績優秀者の集まりで体育科は中学時代から名の通っている生徒たちが集まる。


各運動部のレベルは高く表彰される部も数多くある。個々のレベルも高く、運動部の宝庫である学校と言っても過言でも無い。






「まあな。」

「私は光陽の卒業生だよ。」

「へぇー……――――は?」






翼が何気無く頷くと数秒もしない内に二度見された。その目はギリギリまで見開かれ『有り得ない』と物語っていた。


朔君、涙君、籃君も翼と同様に私を珍しいものを見たかのような眼差しで見詰めてくる。


うん。不愉快だけど大体言いたいことは分かるよ。







「お、お前、幾つだよ……」







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