こうして僕らは、夢を見る


『死ねよ』
『蕾調子乗りすぎ〜』
『この男好き』
『可愛いからって生意気』
『運動しか取り柄ない癖に』
『粋がるの止めてよ』
『ちやほやされて図に乗んな』
『うっざ。蕾なんか要らない』


『あれ?教科書どうしたの?』
『蕾の教科書ならゴミ箱に合ったよー!汚ーい!』
『きゃー!近寄らないでー!臭い移る!洗浄洗浄!』


『ちょっと!私の好きなひと奪わないでよ!?性格ブスの癖に!』
『最低!友達じゃなかったの!』
『そうだよ友達―――――友達?あれ?蕾って友達だっけ?』
『違うよ。蕾は友達じゃないし。ただの暇潰し。さっさと消えろ』
『だよねー!』
『死んで?』
『死ーね死ーね』
『死ーね死ーね』
『死ーね死ーね』
『死ーね死ーね』
『死ーね死ーね』
『死ーね死ーね』
『『『死ーね!死ーね!』』』





響く響く。残酷な言葉が心を貫く


ついこの間まで“友達”だった子達の惨い言葉。純粋で思いつきに発している言葉。“死ね”なんて言葉で言うのは簡単だよ。だけど―――――‥





『……っ』





たった二文字の言葉に私は傷ついた。私が何れ程泣いてきたのかを“友達”は知らないだろう。影で涙に暮れていた事は知る由もない




(わたしは、死にたく、ないっ)




言い返せず口に出すこともできずいつも呑み込んでいた。



“小さな蕾”の悲痛な心叫びは―――――――――男の子と痛みと被って見えた。助けて上げたい。幼い自分を見ているようで小さな男の子を守って上げたくなった。全てを投げ出し私は駆ける。過去の自分と男の子を助けるために。



先ほど男の子が呟いた言葉はランドセルを背負った小学生が発する言葉とは思えず胸が軋んだ。私はその呟きを聞いてここで逃げ出すと後悔すると思った。










例え何かを失ってでも“今”を、後悔したくなかった。


守りたい命が、そこにあったから――――――‥
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