こうして僕らは、夢を見る


珍しく照れ屋な楓君が話し掛けてきた。その目は化け物を見たかのような瞳。失礼だな、君たちは。





「―――年頃の女性に歳を聞くのはメっ、だぞ!」

「………」
「………」
「………」
「………」
「………」

「………うん。何かゴメンね。」




うん。本当にごめんなさい。心から反省します。だからその絶望したような顔は止めてください。私も自分で自分に引いたから。





「………あー。ごほんっ。」





いろいろ気恥ずかしくなり咳払いで誤魔化した。





「私は21歳だよ」





そして本題に戻す。


正真正銘の21歳。まだまだイケてるよね?ピチピチの乙女だよ。童顔だから10代に間違われる事が良くあるけど。この彼等みたいに。


私の年齢を聞いて呆然と固まっている少年達を見ながら、私は何も言えず暇潰しにハニーブラウンの髪をクルクル指で弄る。





「………ま、まじで、婆だったのかよ」

「おい」





失礼だぞ、楓君。


21歳はまだピチピチの“お姉さん"だ!逆にまだ煙草もお酒も禁止されている君達は私からすれば"お子ちゃま"なんだからねッ!





「いや〜。ワリいな。まじで“お姉さん"だったとはね〜。せいぜい18ぐれえかと思ってたぜ。因みに俺ら高2〜。」





籃君が若干冷や汗を掻きながら、「女ってこえ〜」と呟いている。



ちょっと待て。



別に私はサバ読んでる訳じゃないよ!?ただ童顔なだけ――――――――ッて聞いてねえええ!



慌てて反論するが何処か遠くの方を見つめている籃君に申し訳なくなる。今は素っぴんだけど化粧すれば年相応になるからご安心を。


君たちは高2ってことは17歳?うわっ。若ッ!羨ましい。私もまだまだ若いけどね。体は20代でも心は永遠のティーンエイジャーだから。





「蕾さん、光陽だったのか。」

「まあね。朔君はソフトテニス部なの?」

「ああ。あとコイツらもな。」





ぶつぶつと何かを呟く楓君と遠い目をする籃君を放って朔君とほのぼのと会話する。



翼なんて論外。白目剥いてるし。私の歳がカルチャーショックだったみたい。素っぴんでも頑張れば21歳に見えるよ!……多分。



それと意外な事実が発覚した。朔君は意外に会話が出来ると云うこと。案外朔君は話しやすい。聞けば答えてくれるし刺々しさも無い。普通に良い人だった。単に見た目が怖いだけか。
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