こうして僕らは、夢を見る










母さんの温もりに包まれると耳鳴りが徐々に止んでいった。落ち着く包容。母さん優しい温もりに身を委ねるとユックリと瞳を閉じた。カンカンカンカンカンカンカンカンカン、カン、カン、



カン、カン、カン、



カン、



カ、ン、カ、



ン、














「……母さん」

「なあに?」

「……ごめんね」





泣かせてごめん。そう呟いた私に母は微笑む。ゆっくり横に首を振るとコツン、額と額を合わせた。





「蕾が男の子を守るなら母さんが蕾を守るわ」





ギュッと抱き締められた。立てたなら私も名一杯抱き締められていただろう。車椅子の位置に合わせて屈んでくれる母さんの背に手を回して抱き締め返す。





「蕾は大切な私の娘だから」





そう耳元で囁かれた。



首筋が濡れているのが分かった。――――泣かせてごめんなさい。心のなかでもう1度呟いた。



瞳を閉じて母さんの背中を擦る。小刻みに震える身体に胸が痛くなる。先ほどの看護婦さんへ宛てた言葉。私には看護婦さんより別の誰かに言っているようにも見えた。喩えば――――――神様とか。



私が病院に運ばれたと聞いたときの母さんや父さんの気持ちは到底理解出来ない。今になって母さんの気持ちが爆発したみたい。その想いを汲むことは出来ない。



今はただ小刻みに震える身体を抱き締めるだけ。



親の心子知らず、だ……
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