こうして僕らは、夢を見る
唇を噛み締め刺激に堪えていたとき。
「やああああめえええええろおおおおお!やーめーろー!止めろ!止めろ!今すぐ止めやがれ!」
まさかの救世主・楓君。
楓君が割って入ってきた。司くんの上から私を退かせると直ぐさま司くんの胸ぐらを掴んだ。本当に意外で目を見開く。きっと私の為の行動と言うより自分の保身の為だと思うけど。
「や、遣るなら外で遣れよ!?」
「へえ。ヤるとか楓の口から出るとは思わなかったよ」
「違う!そういう意味じゃない!そういうことをするなら違う場所で遣れって言うことだ!」
司くんがからかうような微笑を向けた。始終楓君は真っ赤。耳から首まで熱が迸っている。
司くんは楓君をからかうのが楽しいのか厭な笑みを浮かべている。2人の会話を尻目に私はソファーに逆戻り。と言うより避難のほうが正しいかも。迸りは御免だ。
思い出すだけでおぞましい!
ひいいいいい!ほんと勘弁!最近の高校生は恐ろしすぎる。危うく流されるところだった。やっぱり司くんはブラックリスト入り。
軽く身震いしながら机に置いてあったミネラルウォーターに手を伸ばし口に含んでると――――――――――‥
「ごふぅ」
水を噴き出しそうになった。
ゴホゴホと噎せる。
「ど〜したのよ?蕾ちゃん」
「えっ、あ、」
「ミネラルウォーターで噎せるとか鈍くせえじゃねえの」
「………」
誰のせいだ。
咳き込む私を嘲笑う籃君を睨み付ける。私の瞳からはビームが出ている。いまなら視線だけで焼いて倒せそう。戦闘能力levelが3アップしたよ。
「……ちょっと」
「ん?」
「……退かしてよ」
「何のことか全くわかんね〜わ」
「……っ」
ツツー………と這う指に顔が強張る。それとは裏腹に籃君は意地が悪い顔つき。
綻びる口元が憎たらしい。
分からないと言いながら何の事か確実に分かっている。分からない筈がない。私のほうを見ることはなく素知らぬ振り。ただ――――――――指だけが動く。
隣に座る籃君がパックリと割れたドレスから露にされた背中を撫でてくる。
最初は偶々触れただけかと思ったけど確実に撫でているのは明白。その撫で方が厭らしい。
「司だけズルい」
「……ひゃっ…ん」
ちょいちょいちょい。
待て待て待て。バレる!
スゥ――…とドレスの中へと滑り込んできた籃君の手に慌てる。
いままで私に見向きもしなかったのに漸く此方を見た。しかし見るどころか横から首に唇を宛がう。そして籃君の艶っぽい唇から舌が覗くと首を撫でるように動く。
「ち、ちょっ、らん、く!?」
止めようとするが弁舌が上手く回らない。グイグイ頭を押し返すが中々離れてくれない。
司くんたちは話し込んでいて私達に気付かない。籃君はそれを狙ったのか首に顔を埋めた。手は肌を伝うのを止めない。