こうして僕らは、夢を見る

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* * *



いつも通りのTシャツとジーンズ。悩みに悩んだ服選び。結局このスタイルが私らしいと思ったからこの格好に決めた。背伸びするのも無理に着飾るのも止めた。



常に自分らしく、前向きに。



カチューシャが付けられたストレートヘア。弄ってもいないし編んでもいない。そのままの髪形。



ただカチューシャを付けただけなのに女子力がアップしたみたい。これが私の精一杯のお洒落。今の私にはこれで充分。ワンポイントだけで満足感がある。



今日は快晴。



私の心も好天。



絶好のお出掛け日和。なのに―――――――‥











「で?どこに行きますか?」

「ええ…!?」





そう司くんに尋ねられた私の心は好天から一気に曇りになった。



今日は7人でお出掛け。計画して遊びに行くことがなかったため、誘われたときは凄く嬉しかった。服選びも悩みに悩んだ。結局は普段の格好だけど。洒落たところはカチューシャだけ。



しかしメイクは念入りに。一応は身嗜みの1つだし。服装も身嗜みの1つでも服と顔の差は大きい!服は手を抜ける。でも顔は駄目。哀れな素っぴんを大衆に晒すほど女を棄てた覚えはない。



そうこうして当日。足取り軽やかに彼等に逢えば衝撃事実が発覚。



真夏日。駅前広場で脚を止めているのは私達だけ。



周囲の人達は「暑い!暑い!」と悪態を付くけど脚は動いている。内輪で暑さを凌ぎながら目的地に向かって只菅歩いている。



しかし私達は違う。



暑さを凌ぐどころか感情が高ぶり暑さが増す。



駅前広場で立ち止まり――――‥












「まさかのノープラン!?」





陽が照る中で口論中。



集まったが良いけどノープラン。周囲の人達は目的地があり脚を動かしているが私達の場合、目的地すらない。





「計画性成さすぎでしょ!?今日32℃だよ!?せめて計画立ててから誘ってよ!そんでもって私を涼しい楽園に誘ってよ!?」

「ギャーギャーうっせえ女だな?ああん?ならテメーが立てろや!行き当たりバッタリ!それで良いだろ!?気分で行動するのに邪魔な計画をいちいち立てる意味が俺様には分からねえなァ!」

「なら水族館に行こう?」

「テメーは馬鹿か。魚は食うもんで見るもんじゃねえ。魚なんか見て何が楽しいんだよ。下らねえ」

「お前が居るから“計画”が必要なんじゃあああああ!」





綺麗に飛び蹴りが決まった。





「っざけんな!ブッ飛ばすぞ!?軽くビビったわ!蹴るときぐらい言え!不様な姿を晒す羽目になっただろうが!」

「煩い!翼は文句が多い!だからその日の計画がないとスムーズに進まないんだよ!なら翼はどこに行こうとしてるのさ!?」

「俺か?そうだな―――――――――…本場で優雅に駱駝に乗りたい。俺様にピッタリな遊技場だ。フッ、高貴過ぎるじゃねえの」

「そのまま砂漠に埋もれて生き絶えろ」

「砂嵐に巻き込まれて吹き飛ばされちまえ」

「アンタがな」

「お前がだ」

「いやいや。私はアラブの石油王とのんびり過ごすの。イケメンで大金持ちな石油王様とね!砂嵐になんて巻き込まれる筈ないから」

「それはこっちの台詞だ。テメーみてえな“ちんちくりん”よりもナイスバディーな美女に囲まれて優雅なアラビア生活を送るぜ」

「あらそう。行ってらっしゃい。2度と帰って来なくても大丈夫。アンタの代わりに私が水族館で鼈を拝んでいてやるから」

「ハッ!鼈だァ?水族館に鼈なんて居るわけねえだろうが!鯨なら居るけどな。そんなのも知らねえのかよ?お前水族館初心者だろ?出直して来やがれ」

「HAAAA?蒼井氏。頭の方は大丈夫ですKaaaaa?水族館に鯨が居るわけないじゃん!水槽に入らないっつーの!バカ!絶対にアンタ馬鹿だ!ぐぴぴ」

「水族館初心者に言われたかねえんだよ!」

「翼よりは詳しい!せめて中級ぐらいの知識だもんねーっだ!」

「どっちもどっちだ」
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