こうして僕らは、夢を見る
休憩スペースのようなホワイエ。ホワイトとブルーの光の幻想的な演出された空間によりプラネタリウムへの期待度が高まる。
ホワイエから繋がるトンネルのような道を抜けると宇宙への冒険が始まるようで胸が踊る。
ホワイエから繋がるトンネルを抜けるとプラネタリウムドームが広がり―――…
「宇宙空間へ出発―――!」
「うっせえわ」
左隣に座る翼に頭を叩かれた。
プラネタリウムは傾斜型の座席。座席が階段状に設置されている。映像が正面から迫ってくる臨場感が味わえるよう。本格的に星空の世界を体感みたい。オマケに座席はメッシュ素材のリクライニングシートに。最高じゃないか!
私の興奮度はMAX。もはや誰にも止められない。だからなのか――――――――近くには誰も居ない。皆静かに見るほうを選んだ。と言うよりも問題児が固められた。左から翼・私・楓君。何と異色。ストッパーが居ない!と言いたいが私は歳上だ。ストッパー役は任されたよ朔君!
私はプラネタリウムドームに足を踏み込んだときから治まらない胸の高鳴りを押さえるために胸元に手を添える。
「ひゃ〜!楽しみ〜」
「ちったあ静かにしやがれ」
「楽しみじゃないの!?」
「ロマンチストじゃあるめえし。興味ねえよ」
「もう!なにそれ!夢想家の何が悪いのよ!楓君を見習いなよ!?宇宙感を体感したらアンタ絶対に度肝抜かすよ!?また見たいって思うんだから!夜景とかも好きになるから!ねえ楓君?」
「おう。結構いいぜ」
意外な事に楓君はプラネタリウムに興味が有るらしい。これには誰もが驚愕した。プラネタリウムに行きたいと言う私に楓君は1番に賛同してくれたし。
(『え!?楓君もプラネタリウム好きなの!?』)
(『好きとかじゃねえ。この間の夜、走ってたとき偶々星が見えたんだよ。こんな都会でも星が見えることが衝撃的だったって言うか―――――プラネタリウムで見てみたい気はする』)
と言う何とも素晴らしいエピソードを呉れた。感嘆する楓君は夜の星空が相当衝撃的だったらしい。
だから今も素直に頷いてくれた。将来的に楓君はドライブで夜景を見に行くのが好きな男に成りそう。やっぱり助手席には彼女かな?そういう雰囲気って良いよね!
顔を綻ばす私と楓君を、捻くれた男が嘲笑。
「とんだお気楽な奴等だぜ。星空なんて見て何が楽しいんだ?只の空には変わりねえ。そんな暇あるなら筋トレでもするっつうの」
「見てから言いなよ!これから楽しみにして見る人に失礼だよ!私とか私とか私とか!ね?楓君」
「―…ち、ちけえ。分かったからちょっと離れろ!」
「ハッ。こんなもんを楽しみにする奴の気がしれねえわ。それこそ心療内科に行ってこいよ」
「むきー!」
皮肉な言葉に唇を尖らす。絶対に見て損はしないよ!どれだけ綺麗な物にも意味はあるんだから!星だって1つ1つに意味が有るんだよ?それを理解したら絶対に呑み込まれるよ。
翼は相変わらず嘲笑う。それとは反面で楽しみな私と楓君。数分後立場は逆転する事を未だ、知らない。
そして漸く―――…
星空の世界へと誘われる。