こうして僕らは、夢を見る














そして直に“生け贄に為りかけたお姫様”が目に入った。



アンドロメダ座のギリシャ神話はあまりにも有名。知らないひとも居ると思うけど知るひとが大半だろう。暗い空に光る星を見つめて考える。



アンドロメダ座はペガススの四辺形が目印。ペガススの四辺形の左上に位置するα星からβ星へ。更にγ星へと3つの2等星が繋がっているから直ぐに分かった。



アンドロメダ座の見ものといえば何といってもアンドロメダ大星雲(M31)銀河系以外の銀河では最も近いところ(約250万光年)に位置する銀河だもん。



アンドロメダ星雲は、肉眼でもぼんやりと雲の切れ端が浮かんでいるように見える。



β星から北西方向へμ星、ν星とたどり更にその北西方向にある。明るさは4.4等級。だから空が明るい場所ではちょっと難しいかも。残念すぎる。



見ている光は250万年も前の光。250万年前といえば最初の人類が東アフリカの大地を踏みしめた頃。遠い遠い御先祖様の時代。そんなことを考えながらアンドロメダ星雲を眺めていると、何だか心惹かれる。ロマンのようなものを感じさせられた。





「……女の浪漫?」





誰にも聞こえないくらい小さな声で口にした。本当に蚊の鳴き声くらい小さな声。自分の思ったことに笑いが込み上げてくる。



アンドロメダ座はロマンが詰まってる。男のロマンも女のロマンも。危うくロマンチシズムに成りそうだ。



エチオピア王国のケフェウス王(ケフェウス座)と王妃カシオペア(カシオペア座)の間に生まれたのがアンドロメダだったと思う。



でもカシオペアが娘の美しさを自慢するあまり海の神ポセイドンの反感を買う。それで鯨(くじら座)がエチオピア海岸に差し向けられたんだっけ?それで鯨によって大惨事が続く毎日。ガッシャン、ドッシャン、ゴロゴロ、ピカーン、グシャグシャ、



大津波が引き起こされたり。家や家畜が押し流されてしまったり。



神の怒りを鎮めるにはアンドロメダを鯨の生け贄として捧げる他は無いと知るケフェウスは泣く泣くアンドロメダを生け贄とするためにエチオピア海岸へ。



暫くすると沖の方から恐ろしい鯨がどんどんと近づいてきたとき、



ペルセウス(ペルセウス座)が天馬(ペガスス座)に跨がりエチオピア海岸を通り掛かる。メドゥサ・ゴルゴンを退治した首を引っさげて。



ペルセウスはメドゥサの首をお化け鯨の顔面に突きつけたら、鯨は忽ち石になり海の藻屑。



こうしてペルセウスに救われたアンドロメダは、その後ペルセウスとめでたく結婚しましたとさ。



ちゃんちゃん。







「………ろ、ろまんちっく」





はぅ――……



なんてキュンキュンする話。



夜に思わせられる空間でトキメク。ペルセウスが英雄すぎて胸を焦がす。恋の鞘当てもなくすんなりゴールインした2人に憧れる。
< 268 / 292 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop