こうして僕らは、夢を見る




「誰が変態だモンブラン」

「何でモンブラン!?渾名みたいだから止めてよ!だって変態みたいだもん!私の印象を言い合うなんて!聞いてて恥ずかしい!特に生クリーム!何ゆえ甘ったるさを求めてるの!?」

「【蕾ちゃんのイメージを形に変えよう】の討論会だぜ〜?」

「討論会なんてぶち壊してやるわ!【検証結果:蕾は天使】はい!終わり!もう討論終わり!」

「なら最後に聞くが蕾さんが1番自分に近いと思うものは何だ?」

「わたし?エッフェル塔」

「「「「………」」」」





瞬時に固まったのは討論会を開いていた4人。即答した私に聞いてきた朔君まで黙り込んだ。



え。なに?黙り込んだ理由が分からないんだけど。



彼等が重苦しい口を開いた。





「いやぁ〜まさか建造物で来るとは驚きだわ。しかもエッフェル塔とか大御所じゃねえの。ガチの回答されても困るぜ」

「エッフェル塔かー…。俺は自由の女神に思える。エッフェル塔のガッチリさは無いから」

「俺はベネツィア宮殿だ。水の都が相応しい思うぞ。案外古くから刻まれてるものが似合う」

「なんで日本から出るんだよ!?海外に渡る必要すらねえだろ!」

「いやいや。この討論もする必要ないですよ?蒼井君。根本的なとこに突っ込みましょうよ」

「日本ね―……なら日本舞踊だ。着物が似合う。これは譲らない」

「い〜や?断然バレリーナだな。プリマバレリーナが似合うじゃねえの。俺からすれば着物はね〜わ。堅苦しいぜ」

「寧ろ阿波おどりだろ」

「馬鹿にしてんのか!」





朔君のは阿波おどりは馬鹿にしてるとしか思えない。徐々に深まりつつある討論会。終わらない討論会に額を抑える。駄目だこりゃ。頭が超絶痛い。



額を抑えながらフラフラと討論会組から離れる。きっと私が居ない事にさえ気がついてない。討論会は知らぬ間に徐々に悪化。火花を散らしている。



巻き込まれる前に、そそくさと癒やしを求める。



私はキョロキョロと涙君と楓君を探し始めた。





「……あ!」





居た!―――――――2人は車で販売しているアイス&クレープ屋さんの前に居た。



しかもあタンポポの柄が入った車は稀に現れるレアなアイス&クレープ屋さんじゃないか!



嬉しくなりテンションが上がった私は即座に2人に走り寄ると楓君にタックルする。





「楓くーん!」

「…っうお」

「なになに!?ミントチョコとストロベリーのダブル?いいなー!美味しそう!喉が鳴る!」

「は、離れろ……っ!」

「えー。やだ」

「良いから離れろって!」





乱暴にバッと腕を振り払われる。厳しい拒絶に少しショックを受けるけど普段から余り気にしない。いつも通り顔が茹で蛸。相変わらず恥ずかしがり屋さん。楓君はボディタッチを受け付けない。いまどき珍しい硬派さ。
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