こうして僕らは、夢を見る
「…ま、まあ、それなりに、」
「アイツはテニスだけじゃなく学問に置いてもトップクラスだからな。尊敬には値する奴だ。」
「確かにテニスは強いな。俺と同じ二年の癖に部長っつーのが気に入らねえがな。」
「だりー。帰りてーよ、まじ。」
楓君・朔君・翼・籃君の各々が部長に対する意見を述べた――――――――…1人可笑しいけど。言うまでもなく籃君だ。
本当に自由な子だと思った。数分前に出逢ったばかりなのに普段からマイペースな子なんだと分かる。
帰りたいなら帰ればいいのにね。私も帰りたい。さっき買ったアイスが溶けてしまう。冷蔵庫が私を呼ぶ声が聞こえてくるよ。
この暑さでも籃君が帰らないのはその尊敬する"部長"を待ってるからだよね。それに部長が2年生ってことは先輩では無くお友達って事か。
「……仲良いんだね。」
部長やテニスの話するとき皆良い顔してる。
「仲間だからな。」
「…………」
青春、だなあ………
ミ―――ン
ミンミン
ミ――ンミ―――ン……
"仲間"なんて簡単に言える言葉ではない。
だけどそれをサラッと口にした朔君に私は"夏"を肌で感じてしまった。