こうして僕らは、夢を見る
18
* * *
「神社?」
大通りから踏み切りへ。踏み切りから離れると更に小道へ。そして漸く着いた先は神様が纏わる神聖な場所だった。
「あ、待って」
神社を見上げる私を尻目に神社の中へと足を進める司くんの背中を慌てて追い掛ける。
砂利道を歩くたびにザッザッと音を鳴らす。
少し古びた神社。
あまり神聖な神様が纏わっているとは思い難い社だ。
だけどココは学力・金銭・健康・安産。それに縁結びの効果もあることで有名な小さな神社。
万象な神様だ。噂だから本当なのかは解らない。噂は、所詮、噂。鵜呑みにはしない。
「この神社の御利益って1番何が有名なのか知っていますか?」
「縁結びじゃないの?」
「違います」
辺りをキョロキョロと見渡す私に聞いてきた司くんは、首を横に振り否定する。
「“勝利の神様”」
そう静かに告げた。
神社のなかを颯爽と歩く司くんの声が胸に浸透する。
「勝負必勝。事業開拓発展祈願。スポーツの試合前や経営再建の為に祈願する人が多いらしいです」
「―……勝利の神様」
ポツリと呟く。
この神社の御利益を初めて知る。縁結びでも金銭でも学力でも安産の神様でもない“勝利の神様”
だからと言って何故この神社に来たのかが分からない。司くんに尋ねようとしたとき―――――――――――…
「あ、居た」
漸く皆に逢えた。