こうして僕らは、夢を見る
ジリジリと夏の太陽が肌を焦がす。耳に付く蝉の鳴き声。べっとり肌に張り付く汗。猛暑のため少し刺激されチカチカと眩む視界。
そして朔君の言葉。
“仲間”
何だか若返った気分だ。
こちらまで浮き足立ってしまう。
仲間と部活に明け暮れながら汗を掻くなんて真夏の青春だな〜っとしみじみ感じた。
鮮明に耳に響く蝉の鳴き声も今は何だか不愉快ではなかった。寧ろ「あ。夏だ。」なんて私らしく無い事を思ってしまう。
この少年達が微笑ましい、
1度きりの"青春"を味わっている目の前の若き少年達が急に微笑ましくなる。
帰りたい気持ちなんか疾うに褪せている。
私は密かに「ふふっ」と微かながら笑みを零した。
―――――――そんな私の心情なんて露知らず。籃君は相変わらずのんびりとした口調で言う。
「とりあえずやろ〜ぜ?」
「おらよ」と私にラケットを差し出してくる籃君。
ラケットを貸してくれるその親切さは充分有り難いんだけどさ…
「だから私はやらないよ。」
テニスは遣らないからラケットは要らないんだよね。
籃君にグイッとラケットを押し返す。微かにムスッとする籃君には罪悪感が芽生える。
ごめんね?
本当は出来ることなら遣りたいよ。折角誘ってくれてるんだもん。でも私は――――…
「ちったあ、走れ」
―――――――ド ク ン ッ――――!
楓君の言葉に、胸が騒いだ。