こうして僕らは、夢を見る
これは本当の話。昨日自宅に帰って仮眠してからRPGのゲームを満喫したあとバイトに出掛けた。普段は早番だけど、最近は遅番。夕方から出るコトが多くなった。





「バイトしてるのか?」

「そりゃあ私も社会人だしね。立派な社会人とは言えないけど君達と違って私は既に成人してる大人の女性だよ。」





遠回しに君達と私は違う、と言う意味合いが込められた言葉。そんなつもりは毛頭無かったが特に意識せずに言ってしまった。


だからその言葉に朔君が顔を顰めた事なんて私には気が付かなかった。朔君の事を気にする事もしないで私はペラペラ話し出す。





「私は子供に戻りたいよ。昔は『早く大人になりたい!』なーんて言ってたけど理想と現実は全く異なるモノだって分かったよ。」





いまじゃ滅多に羽を伸ばす事なんて出来ないしね。年を重ねるにつれて自分の時間が削られる事が多くなっている。



人間関係・お金・生活・自由・疲労・色んな悩みが有るよ。子供にも子供なりの悩みが有るけど大人にも大人の悩みが有る。



現実は手厳しい。現実と理想はかけ離れている。夢と理想は紙一重だけれど現実とは=(イコール)で結ばれない。



人生はそんなに甘くはないと云う事柄に私は何度も直面している。



大人になると夢を見る人なんて極僅か。夢見がちだと笑われるのが落ちだからだ。素直に為れない大人には夢見がちな子供が輝かしく見えて目が眩む。同時に、羨ましく思ってしまうのが本音だろう。













―――――なんて未だ高校生の君達に言っても分かんないよね。



フッと自嘲的な笑みを朔君に隠れて浮かべる。


生き生きと羽根を伸ばして自由に夢を見られるのは子供の内だけだから今はせいぜい煌めいた夢を追っ掛けてなよ…?



そう心のなかで呟いた。
< 54 / 292 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop