こうして僕らは、夢を見る



――――――そして。あるコトで奮闘する私が頭を過り自然と笑みが溢れた。



「ふふっ!」

「何だよ?」



いきなり笑い出した私を、翔が不思議そうに見てくる。


青春時代の頃を思い出した。――――――‥そう言えばもっと訳の分からないと云う顔をされた。だから私は再度、笑いを含んだ声で分かりやすく説明する。




「《『夢』の意味を大人は分かってない。夢は見るもんじゃない、叶えるもんだ。》って伝えようとした青春時代だったんだよ。」




あー。笑いが込み上げてくる。




「ずっとオリンピックに出たかったの。」




馬鹿でしょ?


込み上げる笑いが止まらない。


汚れたシューズを履いて汗が滲みたユニフォームを着て『私はみんなに感動と夢を与えたいのっ!』って馬鹿みたいに夕陽に向かって叫んでた。


暑すぎる青春時代。そして夢を見すぎていた愚かな青春時代。その言葉を馬鹿にするコトはなく翔は高々と言った。




「俺はブロードウェイ。」

「――――――は?」




私はその言葉に目を見開いた。


そんな私を見て翔は笑って『俺の青春時代の夢。』と言った。


ならさ?私がオリンピックを目指していたとき翔はブロードウェイを志していたと云うことか。―――――――‥‥‥何だかんだアンタも夢見てたんじゃん。


私は翔にそう言った。


その直後、数秒間見つめ合い――――――‥‥‥‥













「「………ぷッ」」



同時に吹き出した。

可笑しかったから。



こんな捻くれ者同士なのに、お互い熱い青春時代があったことに。それは決して生半可で生温いものでは無かったが――――――――嫌でもなかった青春時代。




「高望みだね?」

「お前もな。」




笑いながら翔に軽く小突かれた。


威力は翼が小突く3分の1程度。見た目はチャラチャラしてても紳士なようだ。悪く言えば女慣れしている。翔は女の扱い方をよく知ってるからね。


こんなタラシがブロードウェイか‥‥――――とジーッと翔を見ていると口元を上げ私に顔を近づて来た。鼻が引っ付くぐらいスレスレの至近距離だ。




「お?俺に見惚れてんの?」

「‥‥‥ばーか。」

「ははッ。蕾が照れるとか珍しいな。そんな俺、格好いいか?まあ余裕でイケメンだよな。」

「うるせえよナルシスト。見惚れてんのはアンタの方でしょ?」

「――‥へえ。なら何か遣ってみろよ?可愛いポーズ」

「‥‥‥‥」









か、

かわいいポーズ!?
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