こうして僕らは、夢を見る
何言ってんのか自分でも良く分からなくなってきた。そう溜息を付き元凶の翔を睨んでいると
『――――‥‥‥‥あのー』
―――――‥‥ 数人のお客様が列を作りレジの前に並んでいた‥
「い、いらっしゃいませっ。」
即座に営業スマイルに切り替える。内心冷や汗ダラダラだった。
い、いまバイト中うううう!
いつからこのお客様達は並んでいたのか分からない。取り敢えず焦りと羞恥で震える指で頼まれた品をレジスターに打ち込む。
こんな失態は初めてだ。だから翔と時間帯が合わさるのは嫌なんだ。ペースに乗せられてしまう。
それに余りにも暇すぎでうっかりバイト中だと言うことを忘れていた。レジの前に並ぶお客様の存在にさえ気付かなかった私からは、もはや【ベテラン店員】の称号は消え去った。
――――――――――せっせと動き回る私に対し素知らぬ振りをして口笛を吹く翔が憎たらし過ぎた午後6時を丁度過ぎた頃の出来事。
(『‥‥‥もうっ!翔もバイトなんだから働いてよ!』)
(『わり。俺、腹減った!』)
(『知らねえよ』)