こうして僕らは、夢を見る
「な、何でココに居るの?」
いや。ファーストフード店だから君達が来るのもわかる。それに私も高校時代は頻繁に通っていたから。
まずファーストフード店がバイト先だったから、それはもう毎日のように脚を運んでいた。
しかし。私は司くん達が居ることが信じられずに目を見張り言った。そうしたら司くん態とらしく肩を竦めて溜め息を付く。
「酷いですよ、蕾さん。今の俺達はただの客ですから。それとも何か不具合でもあるんですか?」
「‥‥‥無い、けど。」
「なら良いじゃないですか。」
そ、そうなんだけどさ‥‥
司くんの言葉に思わず口をつぐむ。黙ってしまう私に相変わらず笑みを絶やさない司くん。私はそんな司くんを直視出来ずにいた。
確かに司くん達が此処に来る事を私が遮るのも間違ってる。客と店員。ただそれだけの関係。だけど―――――――――いまの司くんとは会いたくなかった。
だって…
何だか…
司くん…
いま……
心の蟠りを胸に抱(いだ)き横目で司くんを盗み見ると
満面の笑みを浮かべていた。
それはもう素晴らしすぎる笑顔を見せる司くんと目が合うと又もや私は――――――バッ!と素早く視線を逸らした。
いまは司くんはお客様。仕事より私情を私は取っている。こんな失礼な態度を取ることは駄目なのかもしれない。でも直視出来ない。
だって、司くん
怒ってる。
司くん怒ってる、よね?
多分。いや。いま絶対に司くんは怒っている。それもかなり。
優しい笑みなんてモノじゃない。悪魔のような笑みを浮かべているからだ。ピリピリした雰囲気に此方まで神経が過敏になってしまう。正直かなり怖い。怖すぎる。何でそんなに怒ってんのっ!?
狼狽える私に、情けを掛ける事もなく笑顔で威嚇してくる司くん。
威圧感ハンパねえぇぇぇ‥‥!!!!
わ、わたっ、わたし何かした!?
笑顔で圧迫されそうになり思わず涙が出そうになる。と言うよりも涙が出そうになるほど恐い。恐るべし光陽高校ソフトテニス部部長
第一印象で司くんのコトを王子とか紳士とか吐(ぬ)かしていた頃の私を殴りたい。王子?紳士?どこがだよ。寧ろ悪の道に引き込む天魔の王だ。魔王そのものだ。
「 つ ぼ み さ ん ? 」
「 はひ! 」
ひええぇぇぇええええ!!!
こ、怖っ!
嚇かすから思わず声裏返っちゃったじゃないか司氏!変な奇声出たし!歳上のお姉さんを威圧するなんてなんつー子だ、この子は!