こうして僕らは、夢を見る
司くんの威圧感たっぷりの笑顔が怖い。怖すぎる。カウンターがあることが唯一の救いだ。だけど司くんならカウンターを飛び越えそうで果てしなく恐怖だ。余りの怖さに自然と目に涙が溜まる。



涙で前が見えません。ぐすっ(←



いったい私が何をって言うんだよ。無実な被害者だぜコノヤロー。いざ聞き込み開始だ。



過去の私に聞こう。









『いったいお前(過去の蕾)は何を遣らかした‥‥‥!?!?』



ここまで怒らすなんて尋常じゃないぞ。



数分前。いや。数時間前から私がしていたことと云えばアルバイト勤務。ちなみに今もだ。対して変わらないアルバイト中。だけど数分前から暇になったから翔と談笑していた。それに翔に髪の毛にキスされ‥‥‥――――――あれ?



「んん?」と私は首を傾げた。


名探偵ツボミ再び。



不意に浮かび上がった仮定を胸に抱えて咄嗟にウィンドーを見る。さっき外の景色を見ていたときに見えた歩道。その歩道からなら、いま私が立っているレジが見えなくも―――――ない。










嫌々。



待て待て待て待て。



ちょっと待とうか。



自意識過剰にほどがあるぞ蕾。



相手は高校生。私は21歳。私だって鈍感な訳じゃない。勘は鋭い方だ。特に人の感情にも敏感な方だと思う。だけど高校生から好意を寄せられるなんてあり得ない。私が髪に口付けされて悋気するものは数少ないだろう。



だから、この仮定はスッパリ忘れるべきだろう。












―――――――――司くんが嫉妬、なんて。
< 72 / 292 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop