こうして僕らは、夢を見る
だいたいそんな子には見えない。嫉妬なんて見苦しいものはしないように見える。司くんはかなりの美少年だし将来的に有望な子だ。グラマラスな美女やキュートな美少女が放っておかない筈だ。



年がら年中のモテ期。



そんな子が高が私の事で嫉妬?



無い無い無い無い。あり得ない。司くんの嫉妬があり得ないどころかこんな仮定が浮かんだ私の頭があり得ない。素晴らしく恥ずかしすぎる。私の頭はどんだけ妄想力が豊かなんだよ。



私の勘も宛にならないな。



バッサリ切り捨てた誰も得しない可哀想な仮定。そしてチラッと司くんを盗み見みると―――――‥









「っひぃ」




まだ怒っていらっしゃる。



本当に何で怒ってるの‥‥‥!?


まじで私は何をした!?



笑顔で威嚇してくる司くんに私のHPが徐々に磨り減らされていく。このままでは【ゲームオーバー】の赤い文字が映し出されるのも時間の問題となってしまう。



そのときは【リベンジ】とか選ばないけどね。即座に電源を切ってやる。コンセントから。だけど司くんは私を【ゲームオーバー】には差せてくれない。ギリギリのところで威嚇し続けてくる。



それに心無しか司くん以外の少年達も若干不機嫌だ。



なっ、なになになに!?!?!?!


一体に君達に何があった!



突き刺さる視線がかなり怖いんですけど。もっとか弱いお姉さんを労って下さい。



特に純情ワンコ。君だよ、楓君。元から悪い目付きを更に尖らせ私を睨んでくる。超怖い。君はスポーツマンじゃなくてチンピラだ。ラケットが武器になるよ。



涙君なんか唇を尖らせて不貞腐れている――‥‥か、可愛いっ!



あ。ダメダメダメ。怒ってるのに可愛いとか言っちゃ駄目だよね?――‥‥でも可愛すぎるっ!唇が前に出て思わず突きたくなる。ギャップ萌えだよ涙君!





そんな涙君とは逆に。


問題なのは籃君と翼だ。


睨むだけの楓君よりも質悪い。


思わず溜め息を付きたくなるが犇々(ひしひし)と司くんから突き刺さる視線に気を抜けない。
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