こうして僕らは、夢を見る



『何をしているの、籃君?』



そう訪ねたくなった。切実に。





――‥ああ。


本格的に涙で前が霞み始めた。


籃君を見るたびに目の前が霞んで行くのは何故だろうか。





籃君が踏み潰しているのは看板。踏まれている看板が哀れすぎる。それと同じように私も哀れだ。



その看板ね?私が徹夜して作ったものなんだよ、籃君。店長に泣き付かれて作ったんだ。【期間限定・世界のプレミアム】て描いてあるでしょ?――‥それ私の字。



なけなしの時間を削って作ったんだ。やっぱり遣るからには手を抜きたくないから全力でやり遂げた力作なんだよ。美術2の成績でイラストとか滅茶苦茶頑張った。





なのに、

あっさりボコボコ。





なにこの仕打ち。

酷すぎる‥‥‥!

原型留めてねーし。



て言うかその『遣りきった』みたい清々しい顔止めろおおおおお!腹立つ!めちゃくちゃ癪に障る!お前がボコボコにしたのは看板だけど実際は私なんだからね!?



看板=(イコール)私!



一応は籃君もスポーツマンなんだから暴力沙汰(相手は看板だけど)とか止めようよ。



あ――‥‥‥もうっ!





「籃君の部長が見てみたいよ」


「俺が何ですか?」


「(部長司くんだったああああああああああああ!!!!!!!!)」





バカだ。私はバカだ。



司くんじゃん。部長様は。



捻くれ者な籃君が所属する部活の親的存在な部長の顔を拝みたいとか思った。きっと似た者同士で捻くれ者なんだと思ったから。
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