こうして僕らは、夢を見る
だけど―――‥
「な、ナンデもナイでス。」
部長が司くんだと云うことをすっかり忘れていた私は、自爆。
怒っている司くんの前で『部長の顔が見てみたい』なんて呟いてしまった。部長は司くんなのに。
ああ。終わった。
声が裏返りながら誤魔化すも、司くんには怪訝な面持ちをされた。当たり前か。――――フッと自嘲的な笑みを浮かべた。
ゲームも終盤に差し掛かった。私はゲームオーバー。ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ。
自棄になった私は頭がブッ飛んだ。君の悪い可笑しな笑い声が頭のなかで響き渡る。不気味だ。
「最後まで捨て鉢になるな」とか有るが自棄にならずには要られない。私は部長を捻れ者だと思った。なら司くんを捻れ者だと言ってる事と同じだ。
終わった。
確実に終わった。
正に火に油。
理由は知らないが怒っている司くんに油を注いでしまった。
―――――――しかし。色んな意味で哀れな私を見兼ねたのか、仲介に入って下さった御方がいた。
「司、それぐらいにしておけ」
朔殿おおぉぉぉおおおお!!
思わず泣き叫びそうになってしまう。やっぱり仲立ちは和風男子の朔君だった。朔君も眉間にシワを寄せて小難しい顔をしていたが。
しかし司くんから発せられるオーラの恐怖には叶わない。司はヤバい。相当ヤバい。笑顔だけで人を威圧するとかドンだけだよ。
もはや超人だよね。司くんは部内どころか光陽のDON(ドン)なのかもしれない。
そんな司くんを制する朔君は凄いと思う。ヘタレな私は一人で影を薄くして、しみじみと頷く。
朔君に咎められて更に不機嫌になった司くんの肩に籃君は腕を回して、のんびりと言った。
「気持ちは分かるけどね〜。」
煽んな妖艶男子。
朔殿の苦労が水の泡ではないか。空気を読め、空気を。
野次る暇があるなら其の駄々漏れの色気を仕舞え。
「でしょ?ほんとムカつくよね。ムカつく。ムカつく。ムカつく。ムカつく―――いっそのこと刺殺しちゃおうなあ‥‥―――」
「司が言うと洒落になんねえから止めてくれ‥‥‥っ!」
どんだけ危険視されてんの!?
楓君の悲痛な叫びにそう思わずには居られなかった。
え?司くんってそんなに要注意人物なの?もしや司くんは私の予想を遥かに上回るぐらいの恐怖政治を行ってるのかもしれない。