こうして僕らは、夢を見る
それに、いったい何を思い出したのやら。心なしか楓君達の顔色が悪い気がする。多分わたしの顔色も悪いな。お互い苦労している。いろんな意味で。




「……あれはヤクザ顔負けの脅迫じゃね〜の。」




端で籃君が呟いた。



おいおいヤクザって―――――――――‥‥仮にも君はスポーツ万でしょうが。まじでラケットが司くんの武器と化しちゃう。



どんな取り引きの仕方したんだよ。みんなの反応から確実に正当な取り引きではないよね。だって皆の顔色が悪すぎる。死相みたいなのが漂っているし。



それよりも私のバイト先への執着心つえーなオイ。そんなに知りたいのなら普通に私から教えて上げたのに。濱口君が哀れすぎるから。


不憫な若きバイト仲間・濱口君を思い浮かべて心のうちで合掌していると――――――――‥‥



一つの疑問が浮上した。








「何で私と濱口君が同じバイト先だって分かったの?」




濱口君を脅迫紛いな事をする前に彼が私と同じバイト先だって分かったのは何故?ふつう店も知らないのに私と同じバイト先だって分からないでしょ。




「‥‥‥‥プリクラ」




ここに来てはじめて話したような気がする涙君が小さく呟いた。


プリクラ?え。なに。プリクラがどうしたの?私と濱口君とプリクラがどうやったら=(イコール)で結ばれるの?


怪訝な顔をする私に再度涙君が教えてくれた。




「‥‥‥‥プリクラ貼ってた。携帯に。蕾さんの。」

「濱口君が?」

「‥‥‥‥うん。」




すんなり頷いた涙君。眠たいのかな?目がトロンとしている。見た目は格好いいのに中身は何だかキュートだよね、涙君って。
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