こうして僕らは、夢を見る
そんな光景を私は一歩下がった場所で見ている。蚊帳の外から観察して見る彼等は弾けた味を醸し出していると思った。さすが現役高校生。空気が潤う。女子高校生みたいなきゃぴきゃぴ感がある。
現役高校生の彼等に混じって会話する私もまだ高校生でもイケるのかもしれない。ふふふふふ。いまでは制服を着ると只のコスプレになるけど本当に女子高校生に見えるかも。うふふふふふ。
何て翔の前で言えば殴られそうだから絶対口には出さない。それか冷やかな眼差しで見られそうだ。なんて哀れな美少女・蕾ちゃん。
―――‥‥‥と、そろそろ休憩室に行こうかな。冷たいカルピスも飲みたいし。チョコレート軍団が私を呼ぶ声も聞こえる。
休憩タイムを忘れていたのに気付きハッと我に帰った。
濱口君も大丈夫みたいだからね。何だか言ってもやっぱり同級生だからなのかな。私なんか居なくても濱口君なら上手く遣れる。そう結論付けてコソコソと休憩室に入ろうとしたワタシ
――――――を引き留めたのは、司くんだった。
「戻るんですか?」
「あ。うん。」
因みに店内にあるレジスターは5つ。濱口君達が話し込んでいるのは一番右端のカウンター。休憩室に行くには真逆の左側にあるカウンターを通らなくてはならない。
右端のレジスターから2つ―――――3つ――――4つ―――と。私が一番左端のレジスターの前に差し掛かったとき金色がレジ前に見えた。
言わずとも司くんだと瞬時に分かる。綺麗な金色は司くんの髪色。
このとき。
私は‘休憩室に’だと思った。
だから‘金髪’という意味合いだったことは知る由もない。
「―‥ふうん。戻るんですか。」
またもや意味深に頷いた司くん。何だか刺のある声色。またまた私は無意識に何かをやってしまったんだろうかと、首を傾げた。
私は司くんを不機嫌にする力があるらしい。いつの間にか取得したみたいだ。
刺のある声色を聞き、やや不安気になる私を司くんはチョイチョイと素晴らしい笑顔で手招きをした。え、なに?―――――て言うか笑顔が怖いんですけど。
意味が分からず首を傾げた。レジの内側にいる私にレジの外側に居る司くんが手招きしているから。何なんだろう?内緒話、とか?
手招きされてもカウンターから出なければ外側には行けない。
―‥だけどそうではなかった。
司くんは私にカウンターから出ることを求めている訳ではなく「近付いて」と言っていることを目で察すると素直に応じる。
―――――――――――爪先立ちになりカウンターに手を付いて上半身だけ身を乗り出す。そして、そのまま司くんに耳を近づけた。