こうして僕らは、夢を見る
6
「つーぼーみーちゃん。」
「‥‥‥」
先ほど。司くんが後頭部に手を添えた際に落ちてしまった帽子を拾い上げて右手で持ちクーラーの利いた休憩室に脚を運んだ――――――――――ガチャ。と音を立てて扉を開ければ先客が。
「‥‥‥翔。」
「お疲れ〜。」
態とらしく甘ったるい声で私の名前を呼ぶ翔が煙草を吹かしながらパイプ椅子に座っている。
「‥‥‥アンタまだ休憩じゃないでしょ。」
「濱ちゃんが来たから良いんだよ。良く働く子だからな〜。たかがゲームの為に。」
翔も知ってたんだ。濱口君のゲームマスター説。私は初めて知ったよ。私もゲームは遣るから濱口君とは気が合いそうだ。
何て考えながらパイプ椅子に座る。端から見れば一言も話さない終始無言な私。話す気力さえない。心無しかドッと疲れが押し寄せ来たから。
まさかあの子達が来るなんて思わなかった。それに良く騒ぐ子達だ。疲れる。特に―――――本当に司くんとか勘弁して欲しい。
「‥‥‥はあ。」
肩を落とし溜め息を付いた。翔は相変わらず煙草を吹かしニヤニヤと此方を見てくる。
「蕾も角に置けないね〜。あんなイケメン君達と知り合いなんて。わざわざ店に押し掛けてくるぐらいだしな。」
「興味本意だよ、きっと。」
「さあて。どうだかな〜?」
「‥‥なによ、その目。」
「別にぃ?」
ウッザ。翔ってこんなにウザイキャラだけ?うざキャラ確定ですか?だけど今の翔なら即認定されるよ。だってその薄笑いを浮かべる瞳が鬱陶しい。
「滅茶苦茶睨まれてたぜ?俺。」
「誰に?」
「ん〜。お眠り天使に俺様野郎に色気詐欺師に和風美男子に純情っぽい一匹狼だな。」
「‥‥‥」
何だ、その解りやすいようで解りにくい喩えは。
反応に困り何も言えず黙り。
「あ〜‥‥あと一番は腹黒王子様かな。」
「司くん?」
「名前まで知らねえけどよ、そうなんじゃね?」
司くんが腹黒王子‥‥。司くんには悪いけど的確に的を射たような名称だ。この数分たらずで個々の特徴を見分ける翔は凄い。まあ彼等が濃いせいのもあるけど。あれは濃すぎ。自己主張が強すぎる。
きぃー‥‥とパイプ椅子の背凭れに体重を預けて身体の力を抜く。やっぱり休憩時間が一番落ち着く
翔が灰皿に煙草を押し付けながらふとした一言を零した。
「随分好かれてんだな、お前。」
好かれている?
ワタシが?
彼等に?
「まあ、ね。」
「いま一瞬躊躇っただろ。」
「うん。」
「お前正直だな。どうしたんだよ?あきらかに蕾にお熱な模様じゃねえか、あの餓鬼共。」
「‥‥‥うーん。」
お熱、ねぇ――‥
翔の言葉が私を悩ませる。