こうして僕らは、夢を見る
しかし翔の言葉に頷きはしなかった。何も頷こうとしなかったワケではない。頷けなかっただけ。



何故なら。紳士の仮面を被った魔王が何処からか見ていそうな気がして為らなかったからだ。きっと濱口君も同じ気持ちに違いない。



休憩室には私達しか居ないのに、全てが筒抜けのような気がした。変な話だけど本当にそう思った。流石ドン司くん。恐るべし。










――――――――――何処からか見られているような気がすると思ったあとの私達は少し可笑しかったと思う。だってこのときの記憶は若干ないから。



私も濱口君も監視されているならさっさと行かないと罰が下されると思ったんだろう。恐怖のあまり朦朧とする思考のなかで早急に行く事を決めた。



そして。まるで外国人が不慣れな日本語を話すときのような片言で私達は、会話し始める。













「ま、まア。ワタクシ行って差し上げないコトもナイですわヨ?」

「ほ、ほンとですカ?わ、ワア。ぼくスンゴク嬉しいデス〜。」

「だ、だってさ呼ばれたら行くのが当然だもんネ?」

「そ、そうですよネ。」

「そ、そう?なら早く行こうカ?我が舎弟・濱口侍のハマグリ。」

「ヘイ。姉御。」

「ワーイ。」

「ワーイワーイ。」



( ・∀・)人(・∀・ )



「うひゃひゃひゃひゃ」

「あひゃひゃひゃひゃ」


「「うきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ」」














「頭大丈夫か?お前等。」




手を取り合い現実逃避をする私達に翔は冷静に突っ込みを入れて来た。それは異物を見る眼差し。



冷やかな瞳で見つめて来る。



しかし煙草が――――――ぽとッと床に落ちているところを見る限りは私達のテンションの変貌に驚いたみたいだ。



あらあら。この程度のコトで驚いているの?甘いわね。フッと優雅に笑みを浮かべた次の瞬間に私は―――カッ!!!!と目を見開いた。これが飴と鞭だ!





「何てアンタはお気楽な奴なの!もう少しで悪夢が襲い掛かるのよ?かけルンバ。」

「変なアダ名で呼んでんじゃねえよ。」





翔はピキ――ッと青筋を立てた。


あらららら。ALaLaLaLa。


怒ってるの?アンタ怒ってるの?


だけど残念。いまでは翔の怒りなんて屁の河童なの。魔王の足下にも及ばない。及んだら困るけど。
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