こうして僕らは、夢を見る


「ハァ。駄目ですね?姉御」

「そうね。ハァ」

「「‥‥」」

「‥‥何だよ」

「「‥‥‥ハァー」」

「だから何だよっ!?まじでお前等何なんだよ!?」





一度翔を見てから濱口君をアイコンタクトを交わすと同時に溜め息を付いた。それを見た堪忍袋の緒が切れた男が居た。



翔はパイプ椅子に座り組んでいた足を解くと――――バン!とテーブルを叩き付けて叫びながら立ち上がった。






「貴方は恐怖の2文字をご存知ですか?恐怖政治が何れ程恐ろしいものかを。王子の素顔は魔王だなんて誰が想像しますか?何たってバイト先を吐かされるまで僕も騙されていましたから。公共の場では優等生なんですよ。皮肉な。」


「ホントに頭大丈夫か?お前」




説明という名の愚痴を早口で捲し立てる濱口君に翔は怪訝な面持ち。普通なら翔の反応が正しいよ。しかし私は濱口君に一票入れる。


濱口君は「訳がわからないと」という表情を浮かべる翔に呆れたように首を左右に振った。





「やれやれ。救いようがありませんね?カケるんるん」

「喧嘩売ってんのかお前」





微妙にキレ気味な翔にも強きだ。濱口君は司くん達意外には強いことが発覚。そう言えば元々この子は毒舌な子だった。司くん達が来て弱気になってたから忘れてた。


キレそうでも、かけルンバは絶対に本気で怒らないけど。濱口君のことは結構気に入ってるみたい。気に入ってた子には優しいから。元々面倒見良い兄貴肌だし。


尚も翔と濱口君は変な会話を織り成す。





「可愛いあだ名じゃないですか。カケるんるん。きっと、そのうち流行りますよ」

「要らねえよ。もっとカッケエのがいい。弱そうじゃねえか」

「そうですか?結構我が儘なんですね。僕の『濱口』のアダ名ならスナイパーHAMAGUCHIですね」

「なんで自分だけやたら格好いいんだよ」




悪態をつく翔に濱口君が愉しげに笑う。喧嘩に成りかねなくも無いが、ただのじゃれあいだ。他愛もない下らない会話。




「ふふッ」




二人の下らない掛け合いに何だか楽しくなり自然と笑顔が零れた。この下らなさが楽しい。


楽しいな、ほんと。


最近になって楽しいと思えるようになった。楽しすぎるよ?毎日。この当たり前が好きだと思った。意識しないとこの毎日の有り難さには気付かない。


幾ら願っても永遠なんて無い。誰しも生涯には最果てがある。だから今を生きて今を楽しむべきだ。


そう思うようになったのは一週間程前。彼等と出逢ったころ。何だか彼等を見るたびに色んなコトを考えさせられる。良い意味でも、悪い意味でも。


だけど不思議とそれが嫌だと思っていない自分もいる。寧ろ―――――――‥‥‥‥
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