いつだって言いなりになる
いつだって言いなりになる
学校の裏門を出てすぐ右に曲がり、それから10分ほどずーっと真っ直ぐ歩くと公園が見える。その隣に花音が住んでいる小さなアパートが見える。その小さなアパートまでの道のりを、僕と花音は2年前の夏から毎日一緒にゆっくり歩いている。
毎日毎日、僕は花音のことを考えて生きている。
「花音は僕のことが好きかい?」
「どうして?」
花音は本当に不思議そうに僕の目を覗き込む。
「どうしてって…まあ…僕も聞きたくなるときがあるみたいで。」
「嫌ね。雪って、時々すっごく不安そうな顔でそう聞いてくるんだもの。
いい、雪?私がもし貴方に好きよ好きよと毎日伝えたとしても、同じことなんでしょう。」
「…そうだね。」
僕がやるせない返事をした直後に、花音は僕の頬にキスをして、それから僕が1番好きな笑顔を向けてくれた。
純粋に、僕は花音を愛している。許されるなら、アパートの隣の公園の滑り台の頂上に立ち、花音を愛していると叫びたいくらいだ。
不安も、怯えも、全て取り払うように叫びたい。
愛を叫びたい。この公園で。このアパートの隣の公園で。
花音が望むならなんだってする。
いつだって言いなりになる。