世界をあげる
「…まあ今回はこのくらいにしてやるか。」
利一さんはそう言うと、春香ちゃんの方を見た。
「春香ちゃん。塾サボるんはまあ、たまにはええと思うよ。」
「え、」
「でもな、遊び行くときはちゃんと大人に言ってから行かんといけん。春香ちゃんが誘拐されたんやないかと思って、いっぱいの人が心配したんよ。一番不安やったのは春香ちゃんのお母さんなんよ。置き手紙でもメールでもええけん、ちゃんと連絡してから遊び行きい。」
「…わかりました。」
「北川さん、春香ちゃんが塾休んだことは怒らんでな。服が泥んこになるまで思いっきり遊べるのは小学生のうちやけん。外で遊ぶのも、案外勉強になるもんよ。」
「…はい。」