世界をあげる
「暑いですねー。麦茶飲みます?」
「あ…もらってもいいですか?」
「はい。」
コップにいくつか氷を入れて麦茶をそそぐ。
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
「どこか遠くから来られたんですか?」
「え、ああ、はい。」
荷物の量が旅行にでも行くのかってくらい多いが、この辺りに観光スポットはない。
もしかしたら親の実家が近くにあるのだろうか。
「里帰りですか?」
「いや、違います。」
違った。