世界をあげる

「13歳、中1の夏にうちに来た。今はだいぶ表情も柔らかくなったけど、初めは全く笑わん子でな。いろいろ傷を背負っとったんやなって。」

そんなに小さいときから傷ついて、一人で抱えて。

「だからさっきの言い方はまずかったのかもしれん。」

「それは…」

「しっかり弁解せんといけんな。澪の分、おかず持って行くけん。」

「はい。」

利一さんはお盆に皿を乗せて澪さんの部屋に向かった。

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