世界をあげる
「ただの食あたりって言ってたじゃないですか!」
「…ほんとは胃ガンやったんと。しかもいろんなところに転移しとって、もう治療できんかった。前にお見舞行ったときに勝村さんから聞いとったんよ。」
「そんな…。涼くんは、」
「…涼は最期まで聞かされてなかったらしい。おじいちゃんっ子やったから、お母さんも言い出せんかったんやって。」
涼くんは誰よりもショックが大きいのではないだろうか。
「今夜お通夜やけど、行くか?」
「…はい。」
利一さんは部屋に喪服を探しに行った。