世界をあげる
大切な人を亡くしたとき、悲しい気持ちはもちろんあるが、それ以上に受け入れたくない気持ちと逃げたい気持ちが襲ってくる。
俺にはわかる。
「俺、探してきます。」
「…頼んだぞ。」
利一さんに任された。
「俺も!」
「俺も行く!」
宏樹くんと豪くんも手を挙げた。
「私も!」
花ちゃんも挙手したが、利一さんがやんわりと下ろす。
「花はおじいちゃんとお別れしてあげて。」
「…わかった。」
俺たち3人は傘をさして走った。