世界をあげる

「泉くん何しおん。」

「何しおん、はこっちのセリフだよ。お通夜始まったよ。」

「…そうか。」

傘を差し出す。

「風邪ひくよ。」

「泉くんこそ。」

涼くんの隣に座った。

「…あんなあ、泉くん。」

涼くんが喋り始めた。

「俺、ほんとは知っとったんよ。じいちゃんが長くないこと。」

「え?」

「じいちゃんのこと大好きやけん、言われんでもわかっとった。」

言葉が出ない。

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