世界をあげる

『利一さん、泉くん、ごめんなさい。

私は弱い人間でした。

利一さんが夢のために都会へ行けって言ってくれたとき、嬉しかったけど、寂しいとか悲しいとかいう気持ちの方が大きかったです。

私はこの場所が好きで、この場所でしか生きていけないと思いました。

ここを離れたくないと思いました。

夢を捨ててもいいから都会になんて行きたくないと思いました。

つまり、私の夢はそれほど大したものではなかったということです。

夢をなくした私は生きてる意味がないと思いました。

利一さん、恩返しできなくてごめんなさい。

泉くん、みっともない大人でごめんね。

2人とも大好きです。これからもずっと。

この家で過ごした15年間、楽しい思い出しかありません。

感謝してもしきれません。

ありがとう。

木藤澪。』

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