世界をあげる

「るりちゃ…」

瑠璃はマンションを出たところでしゃがんでいた。

「…うっ…ふぐっ…」

花は鞄からハンカチを出す。

「るりちゃん、涙ふいて。」

「泣いてないわよ!これは汗!」

「…汗ふいて。」

「…ありがとう。」

瑠璃はハンカチを受け取る。

「…私の居場所なんてどこにもないのね。パパの家はもう私の家じゃない。」

「…あるよ。ママのとこ。みんなのとこ。」

「…。」

「るりちゃん、一緒に帰ろう?みんな待ってるから。」

花は瑠璃の手を引っ張って立たせた。

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