世界をあげる
澪さんの遺書だった。
きっとこれは澪さんの本音だろう。
利一さんは何も言わず、俺の頭を一度なでて店の方に歩いて行った。
俺も少しして店に向かった。
利一さんの肩が震えている。
利一さんが泣いてるとこ、初めて見た。
「利一さん…」
「…俺が悪かったなあ…。都会行けとか言わんかったら…。」
「…利一さんのせいじゃないです。」
「こんな田舎でもなあ、命さえあれば夢叶えられたかもしれんのになあ…っ。」
今度は俺が利一さんの背中をさすった。