世界をあげる
家では肩身が狭い俺にとって、学校は居心地のいい場所だった。
それなのに。
高1の2学期、ある朝登校すると、教室の様子がいつもと違った。
みんな俺をチラチラ見ながら話している。
「おはよー。どうしたの?」
「吉村お前…ホモってほんと?」
「え…」
高校で友達になった佐川に聞かれた。
「冗談だよな?」
ここで冗談だと即答できれば良かったけど、どうしてという気持ちと、どうしようという気持ちで頭が真っ白になった。