世界をあげる


2人が病室から出たのを確認した利一は、梅の方を見た。

「2人を出て行かせたん、わざとやろ?」

「ふふ。わかった?今日は大事な話しようと思ってたから、本当は利一さんひとりで来てほしかったんだけど。」

「…あまりいい話やなさそうやから2人を連れてきた。」

「…当たってるわ。でも、だからこそ今日、花の顔を見れて良かったかもしれない。元気な姿を見られて。」

梅は微笑んだ。

「…もう長くないん?」

「そのようね。」

利一は眉間にシワを寄せた。

< 296 / 403 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop