世界をあげる

「花をなんだと思ってるの!子どもをなんだと思ってるのよ!…ゴホッゴホッ!」

ムキになるあまり咳き込んだ梅の背中を利一がさすった。

「だから私はもう碧とは縁を切るの。遺産はすべて花に相続させる。」

「でも碧さんに直接会って碧さんの気持ちも確認せんとなあ…」

「あの子はきっと、勝手にすればいいって言うわ。」

「それでもなあ…」

「碧に会うのはいいけど、絶対花を会わせないで。花が傷つくわ。」

こんなに怒っている梅を見るのは初めてだった。

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