世界をあげる
近所付き合いもよく、信頼のある葉子のところに毎日たくさんの子どもがやってきた。
葉子は慌ただしさの中にも喜びややりがいを感じ、毎日楽しそうだった。
幸平も葉子の笑顔を見て安心していた。
そんなある春の日、幸平が外にでると、家の前に揺りかごがあった。
「なんでこんなでっかいもんがここに…」
揺りかごの中には赤ちゃんがいた。
「え、なんで?…あ、託児所に預けに…あれ、でも母親は?」
幸平は葉子を呼んだ。
「葉ちゃん!家の前に赤ちゃんおるんやけど、今日預かる予定の?」
「へ?知らないよ?」
葉子も外に出た。