世界をあげる
「…父さんと母さんは、俺が家の前に置かれとったけん仕方なく引き取ったん?」
利一の目が不安そうに揺れている。
「俺がそのまま置き去りにされとったら可哀相やけん、同情して引き取ったん?」
「そんなん全く思わんかったわ。」
幸平と葉子はキョトンとしていた。
「へ?」
「私は、利一と幸平さんと3人で暮らしたら毎日楽しそうやなって思って。」
「俺も。利一が自分の子になったら、葉子も利一も俺も毎日笑顔で過ごせるやろうなって思って。」
2人の言葉を聞いて今度は利一がキョトンとする番だった。