世界をあげる

264羽の鶴



ここに来て喪服に腕を通すのは3回目だ。

「…花ちゃん。」

部屋を覗くと花ちゃんは折り鶴を眺めていた。

「…千羽折れなかったからおばあちゃん死んじゃったのかなあ。」

お見舞いに行った日から折っていた鶴。

「…そんなことないよ。おばあちゃんは病気だったから仕方ないんだよ。」

「…うん。」

「折れた分だけでも棺桶に入れてあげよう。」

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