世界をあげる
花ちゃんを連れて利一さんの車に乗った。
車内ではみんな終始無言だった。
「着いたよ。」
車から降りると、花ちゃんは俺の手を握ってきた。
ぎゅっと握り返し、利一さんについていく。
利一さんは受付でお香典を渡した。
「あれ、あなたもしかして碧ちゃんの…」
ひとりのおばさんが花ちゃんを見て言った。
「来てくれたのね。おばあちゃん見送ってあげて。」
「おばちゃん誰?」
「花ちゃんのおばあちゃんのいとこよ。一度会ったことあるけど花ちゃんちいちゃかったから覚えてないわよね。」