世界をあげる

おばさんは花の頭を撫でた。

「おばあちゃん、あそこで眠ってるから。」

花ちゃんは持ってきた折り鶴をぎゅっと抱きしめた。

「花、行こうか。」

利一さんが花ちゃんの手を引く。

「…おばあちゃん。」

梅さんは安らかに眠っていた。

「…おばあちゃん。私鶴いっぱい折ったんだよ。間に合わなかったけど。」

そう言って棺桶に鶴を入れた。

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